Case 05

「口の中だけでなく、患者さんの私生活も良くしたい」 こばやし歯科クリニック副院長 佐藤信恵の「CICCA」

2016/08/22
口臭外来に力を入れる新小岩の歯科医院「こばやし歯科」の副院長を務める佐藤信恵さん。口臭についてのお話を中心に、歯科医という仕事のやりがいや若者へのメッセージをお伺いしました。

口臭は、なかなか相談しにくい悩み

― 口臭の治療に力を入れるようになったきっかけは何ですか。

みなさんが思っている以上に、口臭に悩んでる人はすごく多いんですよ。口臭外来以外で来院した患者さんから相談されることも多いです。口臭というのは、あまり人に相談しにくい悩みでもあるんですよね。誰にも相談できずに孤独に悩んでいる人を助けたい、というのが一番の理由になります。口臭の治療は、歯周病などが原因なら歯科の知識だけで対応できますが、それ以外の要因による場合はまた別の専門知識が必要になることもあります。ですので、学生の時に学んだ知識だけでなく、常に新しい知識を学ぶことにより、より良い施術ができるよう努めています。

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― 確かに相談し辛い悩みですよね。通常の診療以上に患者さんとのコミュニケーションが大切になりそうです。

そうなんですよ。誰にも、家族にすら相談出来ずに悩んでいる患者さんは多いです。だから専門的な機関で相談できるというのはとても安心できるでしょうね。最近は、患者さんの心理的ケアのために、学生のころから興味があった心理学を個人的に勉強しています。

― 口臭外来の患者さんの男女比はどのような比率になっておりますでしょうか。

圧倒的に女性が多いです。男性は奥さんに「行って来い」って小突かれた人が多いですね(笑)女性は長い間悩んだ末に来てくださる方が多いですが。

― 女性の患者さんが多いとのことですが、やはり同性の先生のほうが患者さんも相談しやすいのでしょうか。

男性の先生でご活躍している方もおりますので、一概には言えません。でも、デリケートな問題ですし、女性のほうが話しやすいという可能性はありますね。

口臭外来は、人を前向きにする仕事

― カウンセリングの際に気をつけていることはありますか。

相手の話を否定せず、きちんと聞くことですね。口臭外来に来る患者さんは、必ずしもにおいがあるわけではなく、自分ににおいがあると思い込んでいることもあります。そんなとき「気にしすぎですよ」と否定してしまうと、患者さんは「この先生はわかってくれない」と考えて心を閉ざしてしまうんです。それに、診療時ににおいがなくても、家に帰ったり、仕事場では口臭がするということもありえます。

― 口臭外来の診療は、通常の診療以上にコミュニケーション能力を要するのかもしれませんね。

症状を良くしたいというのは私たちも患者さんも一緒。ちゃんと話せば心を通わせるのは難しいことではないのです。口臭は物理的な実害よりも「悩んでいる」ということ自体が問題なんですよ。口臭を気にして外に出られなくなったり、他人と会話するのが怖くなったりと、悩みが原因で社会生活にも影響が出ることもあります。口臭のせいで積極的になれず、未来に希望が持てないというのなら、逆に口臭さえ解決できれば、明るく前向きになって未来にも希望が持てるということですよね。口臭治療をすることで、私生活も豊かになったという患者さんがいると嬉しいです。

― 口臭外来の存在を知らない方も多いかと思いますが、もっと世間にその存在を周知したいという想いはありますか。

あります。日本は欧米に比べて口臭に対する意識がまだまだ低いんです。最近聞いた話なのですが、来日した欧米人の中には日本人の口臭が気になるという方が少なからずいるそうですよ。欧米人はハグやキスを日常的に行うため、マナーとして口の臭いには敏感なのだそうです。また、欧米では虫歯に対しての保険がきかないため、歯磨きなど虫歯対策への意識が強い、という面もあります。日本でも、少しずつでもいいので歯や口臭への意識が高くなってほしいと思いますね。

学生のうちはいろんな事に興味を持つべし

― 佐藤先生は研修医や若い衛生士の教育にも熱心とのことですが、若い方々にいつも伝えている言葉はありますか。

慣れない頃は自分ができること、やりたいことばかり気にしてしまいがちです。もちろん技術も大切ですが、一番大切なのは患者さんに寄り添うことなんです。歯だけではなく、患者さんもちゃんと見てあげて、ということを伝えるようにしています。

― 学生のうちにしておいたほうがいいことはありますか。

歯科についての技術や知識はこの先いくらでも学ぶことができます。ですので、それ以外の分野にも興味を持って、自分の知識や経験の幅を広げることをお勧めします。そこで得た知識や経験は決して無駄になることは無いと思いますよ。アルバイトをしたり、部活に打ち込んだり、どんどん好きなことをしましょう。そうした経験は人間性を深くすることにもつながり、患者さんとのコミュニケーションでも役立つことでしょう。

― 佐藤先生が歯科医を目指したきっかけを教えてもらえますか。

私は中学の頃英語が好きで、英語の先生になりたかったんです。でも高校一年生のときに突然化学が好きになって。そのまま理系の勉強ばかりするようになりました。理系の中でも人と関わる仕事がしたいと思ったときに、歯科医という選択肢を見つけたんです。

― 歯科医としてのやりがいはどんなときに感じますか。

先ほどもお話しましたが、口臭を治療したことで前向きになった患者さんを見たときですかね。あとは、初診で泣いていたお子さんが少しずつ慣れてきて、楽しそうに通うようになってくれたときは嬉しい気持ちになります。

― 佐藤先生の今後の展望を教えて下さい。

口臭外来はまだ始めて2年くらい、改善できる部分はまだまだあるので、よりよい治療ができる場所にしたいですね。また、自分の成長だけでなく、若いドクターや衛生士の教育にも力を入れたいです。

― 最後に歯科業界を目指す若者にメッセージをお願いします。

歯科医は人の心を明るくすることができる素晴らしい仕事です。これからいっぱい勉強して、いっぱい遊んで、すばらしい歯科医や衛生士になることを応援していますね。

このインタビューに答えた人

佐藤信恵

東北大学歯学部卒業後、新小岩にあるこばやし歯科クリニックにて勤務医を務め、患者さんのお口の健康を守るため、日々努力している。
> こばやし歯科クリニック HP

[ライター/今井辰実(Concent) カメラマン/本藤太郎]

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